文章を読んでいて「愛でる」という言葉を見たとき、「まなでる、と読むのかな?」と迷ったことはありませんか。
「愛」は「愛娘(まなむすめ)」や「愛弟子(まなでし)」では「まな」と読むため、「愛でる」も同じように読めそうに感じますよね。
しかし、一般的な日本語では「愛でる」の読み方は「めでる」です。「まなでる」は、標準的な国語辞典に掲載されている一般語として考えるより、「愛=まな」という読みにつられて生まれた読み方や、創作的な表現として捉えるのが無難です。
この記事では、「まなでる」は間違いなのか、なぜそう読んでしまいやすいのか、「愛でる」にはどんな意味があるのかを初心者向けにわかりやすく解説します。
例文や似た言葉との違いも紹介しますので、メールやブログ、SNSなどで言葉選びに迷ったときにも参考にしてください。
結論|「まなでる」は一般的な読み方ではない
「愛でる」は「めでる」と読む
最初に結論から確認しておきましょう。
「愛でる」の一般的な読み方は、「めでる」です。
「あいでる」や「まなでる」とは読みません。
「愛でる」は少し古風な雰囲気を持つ言葉ですが、現在でも「桜を愛でる」「猫を愛でる」のように使われています。
日常会話よりも、文章、エッセイ、旅行記事、季節を紹介する文章などで見かけることが多い言葉です。
「まなでる」は辞書に載る一般語とは考えにくい
「まなでる」という形をインターネット上で見かけることはあります。
ただし、それだけで標準的な日本語として定着しているとは判断できません。
少なくとも通常の文章で「愛でる」を表したいのであれば、「めでる」と読むのが安心です。
学校の作文、仕事の文章、ブログ記事など、意味を正確に伝えたい場面では「まなでる」を「めでる」の代わりとして使わないほうがよいでしょう。
創作表現として使われる可能性はある
一方、小説や詩、SNSなどでは、作者が意図的に一般的ではない言葉を作ることがあります。
そのため、「まなでる」という表現そのものを絶対に使ってはいけないわけではありません。
ただし、その場合は一般的な日本語ではなく、作者独自の表現として受け取られる可能性が高いと考えておくとよいでしょう。
なぜ「まなでる」と読んでしまうの?
「愛」には「まな」という読み方がある
「まなでる」と読んでしまう大きな理由は、「愛」という漢字に「まな」という読み方があるからです。
たとえば、次のような言葉があります。
・愛娘(まなむすめ)
・愛弟子(まなでし)
この「まな」は、大切にしている、かわいがっているといった意味を添える働きをします。
そのため、「愛でる」という表記を初めて見たときに、「愛=まな」と考えて「まなでる」と読んでしまうのは、それほど不思議なことではありません。
漢字はいつも同じ読み方をするわけではない
日本語の漢字には、同じ文字でも言葉によって読み方が変わるものがたくさんあります。
「愛」もその一つです。
「愛情」は「あい」、「愛娘」は「まな」、「愛でる」は「め」と、組み合わさる言葉によって読み方が変わります。
漢字を一文字ずつ読もうとすると間違えやすいため、「愛でる=めでる」のように、一つの言葉として覚えてしまうのがおすすめです。
「愛でる」が日常会話では少し珍しいことも原因
「食べる」「見る」のように毎日使う言葉であれば、読み方に迷うことはあまりありません。
しかし「愛でる」は、日常会話で頻繁に登場する言葉ではありません。
「紅葉を愛でる」「名月を愛でる」など、季節や自然を表現する文章で使われることが多いため、初めて文字だけを見て読み方に迷う方もいるでしょう。
「愛でる」にはどんな意味がある?
美しいものを味わい楽しむ
「愛でる」の代表的な意味は、美しいものを見て、その美しさを味わったり感動したりすることです。
たとえば、
「満開の桜を愛でる」
という表現なら、ただ桜を見るだけではありません。
花の美しさをゆっくり楽しみ、その魅力を感じている様子まで含まれています。
そのため、花、月、紅葉、庭園などと相性のよい言葉です。
かわいがる・いつくしむ
「愛でる」には、対象をかわいがったり、いとおしく思ったりする意味もあります。
たとえば、
「お気に入りの小鳥を愛でる」
「かわいい猫を愛でる」
といった使い方ができます。
単に「見る」というよりも、「かわいいな」「大切にしたいな」という気持ちを伴って眺めたり接したりするイメージです。
感心する・ほめるという意味もある
現在では少しなじみが薄いですが、「愛でる」には、感心したりほめたりする意味もあります。
つまり「愛でる」は、単純に「愛する」と同じ意味ではありません。
美しさを味わう、かわいがる、価値を認めるといった複数の意味を持つ言葉です。
「愛でる」と「愛する」はどう違う?
「愛する」は幅広く使える
「愛する」は、人、家族、動物、故郷、音楽など、さまざまな対象に使える言葉です。
「家族を愛する」
「音楽を愛する」
「故郷を愛する」
のように、深い愛情や大切に思う気持ちそのものを表します。
「愛でる」は鑑賞やかわいがる気持ちが伝わりやすい
一方、「愛でる」は対象を見たり触れたりしながら、その美しさやかわいらしさを楽しむニュアンスが強い言葉です。
たとえば、
「庭のバラを愛する」
と
「庭のバラを愛でる」
では少し印象が違います。
「愛する」はバラそのものへの深い思いを表し、「愛でる」は咲いている花を眺め、美しさを楽しんでいる場面を想像しやすくなります。
場面によって自然な言葉を選ぶ
どちらが優れているということではなく、伝えたい内容によって選びましょう。
長く大切にしている気持ちなら「愛する」、美しさやかわいらしさを楽しむ場面なら「愛でる」が自然です。
「まな」の意味を知ると間違えにくい
「愛娘」の「まな」と同じ
「愛娘(まなむすめ)」の「まな」は、特にかわいがっている、大切に思っているという意味を添える表現です。
「愛弟子(まなでし)」も同じで、大切に育てている弟子や、特に目をかけている弟子という意味で使われます。
「まな」は、それだけで自由に動詞と結びつくというより、人を表す言葉の前に付いて意味を添える形で覚えるとわかりやすいでしょう。
「まなざし」「まなこ」とは分けて考える
「まなでる」という言葉を見ると、「まなざし」や「まなこ」と関係があるように感じるかもしれません。
しかし、音が似ているからといって、語源が直接つながっているとは限りません。
言葉の由来を説明するときは、「響きが似ているから同じ語源だろう」と推測だけで結びつけないことが大切です。
古そうに聞こえる言葉=古語とは限らない
「まなでる」は響きがやわらかく、どことなく古風に聞こえます。
そのため、「昔の日本語なのでは?」と思う方もいるでしょう。
しかし、古風に聞こえることと、実際に古典で使われていた言葉であることは別問題です。
古語として紹介するときには、古語辞典や古典本文など、確認できる根拠が必要です。
「まなでる」を文章で使っても大丈夫?
通常の文章では避けるのが安心
学校の作文、仕事のメール、ブログ記事など、読み手に意味を正確に伝えることが大切な文章では、「まなでる」は避けたほうが安心です。
「美しさを楽しむ」という意味なら「愛でる」、「愛情をもって見つめる」という意味なら「いとおしむ」「慈しむ」「優しく見つめる」などにすると伝わりやすくなります。
SNSでは造語として使われることもある
SNSでは、辞書にない言い回しや新しい造語が自然に生まれることがあります。
「まなでる」も、投稿者が独自の意味を込めて使用することは考えられます。
ただし、その投稿を見た人全員が同じ意味に受け取るとは限りません。
「正式な日本語として使っている」と誤解されたくない場合は、別の表現を選んだほうがよいでしょう。
小説や詩なら意図的に使う方法もある
創作では、作者が新しい言葉を作ること自体が表現方法の一つです。
もし「まなでる」という響きが作品の雰囲気に合うのであれば、あえて造語として使う方法はあります。
その場合は、前後の文章から「どんな意味なのか」が自然に伝わるようにすると、読者も理解しやすくなります。
「愛でる」と似た言葉を使い分けよう
「慈しむ」
「慈しむ(いつくしむ)」は、愛情を持って大切にするという意味です。
人や動物だけでなく、物事を大事に育てるような場面にも向いています。
「子どもの成長を慈しむ」
のように使うと、長い時間をかけて大切にする印象が伝わります。
「いとおしむ」
「いとおしむ」は、相手をかわいい、大切だと思う気持ちを表しやすい言葉です。
「眠っている赤ちゃんをいとおしそうに見つめる」
のように、人への温かな感情を表現したいときに使いやすいでしょう。
「鑑賞する」
「鑑賞する」は、芸術作品や景色などのよさを味わうことを表します。
「絵画を鑑賞する」
は自然ですが、「絵画を愛でる」とすると、やや文学的で感情のこもった印象になります。
客観的でわかりやすく表現したいなら「鑑賞する」、情緒を出したいなら「愛でる」と使い分けられます。
「愛でる」の自然な使い方と例文
花や自然に使う例
「休日は庭に出て、季節の花を愛でています。」
「縁側から満月を愛でながら、ゆっくり過ごしました。」
「秋になると、色づいた紅葉を愛でるために公園を訪れます。」
自然の美しさをゆっくり楽しむ場面では、「愛でる」がとてもよく似合います。
動物やかわいいものに使う例
「眠っている猫を愛でる時間が、毎日の楽しみです。」
「お気に入りのぬいぐるみを並べて愛でています。」
「かわいい小鳥を愛でながら、のんびり過ごしました。」
最近では、動物やキャラクター、コレクションなどに対して、少しユーモラスに「愛でる」と表現することもあります。
趣味のものに使う例
「集めたアンティーク食器を眺めて愛でるのが趣味です。」
「お気に入りの文房具は、使うだけでなく並べて愛でる楽しみもあります。」
「完成したミニチュアをしばらく愛でてからケースに飾りました。」
「見るだけでも幸せ」という気持ちを表現したいときにも使いやすい言葉です。
「まなでる」に関するよくある疑問
「愛でる」は「あいでる」と読んでもいい?
一般的には「あいでる」とは読みません。
「愛でる」は「めでる」と読みます。
漢字の「愛」を「あい」と読む言葉が多いため迷いやすいですが、「愛でる」という一つの言葉として覚えておきましょう。
「まなでる」は方言なの?
インターネット上では方言や古語として説明されることがありますが、一般的な日本語として「まなでる=愛情をこめて見る」と断定するのは慎重になったほうがよいでしょう。
特定地域の言葉として紹介する場合も、地域の方言辞典や自治体などの資料を確認することが大切です。
「愛でる」は人に使っても失礼ではない?
「愛でる」にはかわいがる意味があるため、人について使われる場合もあります。
ただし、相手との関係によっては「鑑賞する対象のように扱われている」と感じさせる可能性があります。
直接本人へ伝える場合は、「大切に思う」「かわいいと思う」「優しく見守る」など、より自然な表現を選んだほうが安心なこともあります。
間違えやすい「愛でる」を覚えるコツ
「花をめでる」でセットにする
読み方を覚えるなら、短い例文ごと覚えるのがおすすめです。
「花を愛でる(はなをめでる)」
と覚えておけば、「愛でる」を見たときに自然と「めでる」という読み方が浮かびやすくなります。
「愛娘の愛=まな」と分けて覚える
「愛」という漢字の読み方を整理すると、混乱しにくくなります。
・愛情(あいじょう)
・愛娘(まなむすめ)
・愛弟子(まなでし)
・愛でる(めでる)
同じ漢字でも、言葉ごとに読み方が違うと覚えておきましょう。
迷ったら辞書で言葉全体を調べる
漢字の読み方に迷ったときは、一文字だけでなく言葉全体を辞書で確認するのがおすすめです。
今回なら「愛」だけを調べるのではなく、「愛でる」を一語として検索します。
この方法なら、読み方だけでなく意味や使い方まで一緒に確認できるため、似た間違いも防ぎやすくなります。
まとめ|「まなでる」ではなく「愛でる(めでる)」と覚えよう
「まなでる」という言葉を見聞きして、「どんな意味なのだろう」と疑問に思う方は少なくないでしょう。
しかし、一般的な日本語では「愛でる」は「めでる」と読むのが基本です。
「愛」に「まな」という読み方があるため混同しやすいものの、「愛娘(まなむすめ)」「愛弟子(まなでし)」と「愛でる(めでる)」は分けて覚えましょう。
「愛でる」には、美しいものを味わって楽しむ、かわいがる、感心するといった意味があります。
そのため、
「桜を愛でる」
「月を愛でる」
「かわいい猫を愛でる」
といった使い方が自然です。
「まなでる」は創作的な表現として使われる可能性はありますが、学校や仕事、ブログなど正確さを重視する文章では避け、「愛でる」「いとおしむ」「慈しむ」「優しく見つめる」などに言い換えると安心です。
少し難しく見える日本語でも、読み方と意味をセットで知ると意外と覚えやすいものです。「愛でる」を見かけたら、「花や月の美しさをゆっくり楽しむ」というイメージと一緒に覚えてみてくださいね。