加工食品の原材料名を見て、「知らない名前がたくさん並んでいるけれど大丈夫?」「できれば食品添加物を減らしたい」と感じることがあります。
結論からいうと、日本で使用が認められている食品添加物を、すべて「健康に悪いもの」と考えて避ける必要はありません。食品添加物は、食品安全委員会による科学的な安全性評価などを踏まえ、使用できる食品や使用量などの基準が設けられています。
一方で、「できるだけシンプルな原材料の食品を選びたい」「特定の添加物を使っていない商品を選びたい」という考え方も、食品選びの一つです。
大切なのは、「添加物=危険」と決めつけるのではなく、食品表示の意味を知ったうえで、自分が何を減らしたいのかを決めることです。
この記事では、食品添加物の安全性がどのように考えられているのかを確認したうえで、原材料表示の読み方、無添加表示の注意点、無理なく食品添加物を減らしたいときの選び方を整理します。
まず知っておきたい|食品添加物は一律に危険ではない
食品添加物には、保存料、甘味料、着色料、香料などがあり、食品の製造・加工・保存などの目的で使われています。
消費者庁は、食品添加物について、食品安全委員会による安全性評価を受け、人の健康を損なうおそれがない場合に限って、成分規格や使用基準などを定めて使用を認めています。
詳しくは消費者庁「食品添加物」で確認できます。
また、保存料などには食品中の微生物の増殖を抑え、食品の保存性を高める役割があります。消費者庁も、食品添加物を避けることだけに偏るのではなく、栄養バランスや食品の適切な温度管理なども重要だと案内しています。
「では、食品添加物がまったくなかったら、保存期間や食生活はどう変わるの?」と気になる方は、食品添加物がなかったらどうなる?保存・味・食品ロスへの影響で詳しく整理しています。

つまり、食品選びでは「添加物が入っているかどうか」だけでなく、食品全体の栄養、保存方法、食べる量なども含めて考える必要があります。
ADIは「毎日摂取しても健康への悪影響がないと考えられる量」
食品添加物などの安全性を考える際に使われる考え方の一つが、ADI(一日摂取許容量)です。
食品安全委員会では、ADIを「人が一生涯にわたり毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと考えられる1日当たりの摂取量」と説明しています。必要に応じて、毒性試験などの科学的なデータを基に安全性が評価されます。
ADIの考え方は食品安全委員会「用語集検索(リスク評価)」で確認できます。
「化学物質だから危険」「名前が難しいから避けるべき」というだけでは、安全性を判断できません。重要なのは、その物質の性質だけでなく、どの程度の量を摂取するのかという点です。
食品添加物を減らしたいなら、まず食品表示を見る
食品添加物をできるだけ減らしたい場合、買い物のたびに添加物名をすべて暗記する必要はありません。
まずは、容器包装された加工食品の「原材料名」や「添加物」の表示を確認する方法が現実的です。
「/」の後ろだけが添加物とは限らない
原材料名の欄では、原材料と添加物を「/(スラッシュ)」で区切って表示している商品がよくあります。
例えば、次のような形です。
原材料名:小麦粉、砂糖、植物油脂/膨張剤、香料
この例では、「/」より後ろが添加物です。
ただし、すべての商品がスラッシュで区切られているわけではありません。消費者庁の食品表示基準Q&Aでは、原材料と添加物を明確に区分する方法として、記号で区切るほか、改行する方法や別欄に表示する方法も示されています。
詳しい表示ルールは消費者庁「食品表示法等」で確認できます。
表示の長さだけで安全性は判断できない
添加物の名前が多く並んでいると、不安になることがあります。
しかし、「添加物が5種類だから危険」「原材料名が長いから健康に悪い」という判断はできません。
食品添加物にはそれぞれ異なる目的や使用基準があります。表示されている種類の数だけで、安全性の高低を比較することはできません。
「できるだけ添加物が少ない商品を選びたい」という本人の方針で比較することはできますが、それは安全性の判定とは分けて考えましょう。
原材料表示だけでは正確な使用量までは分からない
原材料や添加物は一定のルールに従って表示されますが、一般的な商品表示を見ただけで、それぞれが何グラム含まれているのかまで分かるとは限りません。
そのため、「この表示なら添加物を大量に摂っている」といった判断も避けたほうがよいでしょう。
食品添加物を無理なく減らす5つの方法
食品添加物を完全に排除するのではなく、自分の希望に合わせて減らしたい場合は、次の順番で考えると続けやすくなります。
1.何を減らしたいのか決める
最初に「食品添加物を全部避ける」と決めてしまうと、買い物の負担が大きくなりがちです。
まずは、
- できるだけシンプルな原材料の商品を選びたい
- 特定の添加物を使っていない商品を選びたい
- 加工食品を買う回数を少し減らしたい
など、自分が何を重視するのか決めておくと比較しやすくなります。
2.同じ種類の商品同士で表示を比べる
食品添加物を減らしたい場合は、違う食品を比べるより、同じ種類の商品を比べる方法が分かりやすいです。
例えば、同じドレッシング、同じハム、同じお菓子などで原材料表示を見比べ、「自分が避けたい添加物を使用していないほうを選ぶ」という方法です。
ただし、添加物が少ないことだけを理由に「こちらのほうが健康的」と断定することはできません。食塩、糖類、脂質、エネルギー量なども商品によって異なるためです。
3.素材に近い食品や自炊を取り入れる
自分で調理する機会を増やせば、使う食材や調味料を自分で選びやすくなります。
例えば、毎食すべてを手作りにする必要はありません。
- 冷凍野菜を利用する
- カット済みの食材を使う
- 主菜だけ市販品にして副菜を作る
- 時間がある日だけ自炊する
といった方法でも構いません。
食品添加物を減らすことだけを優先し、食事を用意する負担が大きくなったり、栄養バランスが崩れたりしないようにすることも大切です。
4.「無添加」という言葉だけで決めない
パッケージに「無添加」「○○不使用」などと表示されている商品もあります。
ただし、「無添加」という言葉だけを見て、すべての食品添加物が使われていない商品だと思い込まないようにしましょう。
消費者庁は「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を設け、消費者に誤認を与えるおそれのある表示について考え方を示しています。
商品を選ぶときは、表面のキャッチコピーだけでなく、何が不使用なのか、原材料名・添加物欄に何が表示されているのかを確認するのがポイントです。
ガイドラインは消費者庁「食品表示法等」から確認できます。
5.保存性や食中毒対策も忘れない
保存料など一部の食品添加物には、食品の保存性を高めたり、微生物の増殖を抑えたりする目的があります。
そのため、「保存料がない食品なら何日置いても安心」という意味ではありません。
添加物の有無にかかわらず、商品に記載された保存方法や消費期限・賞味期限を確認し、開封後は表示に従って適切に扱いましょう。
食品添加物の安全性や役割については消費者庁「食品安全に関する食品添加物の解説」でも確認できます。
「天然」「自然由来」なら安全とは限らない
食品を選ぶとき、「天然」「自然由来」という言葉に安心感を持つことがあります。
しかし、物質の安全性は「天然か人工か」だけでは判断できません。
日本で使用できる食品添加物には、指定添加物だけでなく、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物などがあります。食品添加物であるかどうかと、「天然だから安全」「人工だから危険」という分け方は同じではありません。
食品添加物の区分については消費者庁「食品添加物に関する消費者向けQ&A」で確認できます。
子どもや妊娠中は食品添加物を全部避けるべき?
子どもや妊娠中だからという理由だけで、認められている食品添加物を一律にすべて避けなければならない、という一般的なルールはありません。
食品安全委員会のリスク評価では、科学的データを基に安全性が検討され、ADIなどを設定する際には個人差なども考慮されます。
一方、妊娠中や乳幼児期には、食品添加物とは別に、食中毒、特定の食品、栄養素の摂取などについて注意が必要になることがあります。
そのため、「無添加であれば何でも安心」と考えるのではなく、妊娠中の食事については公的機関や医療機関の案内を確認してください。
体調不良を「食品添加物のせい」と自己判断しない
食品を食べたあとに、じんましん、息苦しさ、繰り返す腹痛などの症状が出た場合は、「添加物を避ければよい」と自己判断するだけで済ませないことが大切です。
原因は特定の食品、食物アレルギー、体調、感染症などさまざまで、食品表示だけから原因を特定することはできません。
症状が強い場合や繰り返す場合は医療機関へ相談し、必要であれば食べた商品のパッケージや原材料表示を確認できるようにしておくとよいでしょう。
食品添加物についてよくある誤解
| よくある考え方 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| カタカナや化学名なら危険 | 名前だけでは安全性を判断できません。 |
| 「/」の後ろが多いほど危険 | 添加物の種類数は安全性の点数ではありません。 |
| 「無添加」なら添加物はゼロ | 何が不使用なのか、一括表示も確認する必要があります。 |
| 天然なら安全、人工なら危険 | 天然・人工という区分だけでは安全性を判断できません。 |
| 添加物を避ければ体調が必ず良くなる | 体調変化には多くの要因があり、添加物だけが原因とは判断できません。 |
食品添加物を避けたい人のよくある質問
食品添加物を完全にゼロにできますか?
家庭で食べるすべての食品について、食品添加物を完全にゼロにすることを目標にする必要はありません。
また、加工助剤やキャリーオーバーなど、一定の条件で表示が免除される添加物もあります。表示だけを見て「製造工程まで含めて一切使用されていない」と判断できない場合もあります。
食品表示は、避けたいものを選ぶための有用な情報ですが、表示だけで製造工程のすべてが分かるわけではない点も知っておきましょう。
スラッシュがない商品は無添加ですか?
いいえ。スラッシュ以外にも、改行や別欄によって原材料と添加物を区分して表示する方法があります。
「/がない=添加物ゼロ」と判断せず、原材料名の欄全体や「添加物」の欄を確認してください。
無添加食品のほうが健康に良いですか?
「無添加」という表示だけで、その食品全体の健康への良し悪しを判断することはできません。
食品を選ぶ際は、添加物の有無だけでなく、栄養成分、食べる量、食事全体のバランスなども確認することが大切です。
食品添加物を減らしたいとき、最初に何をすればいいですか?
まずは、普段よく買う加工食品を1種類だけ決めて、同じ種類の商品同士で原材料・添加物表示を見比べてみる方法が簡単です。
「全部避ける」よりも、「自分が納得できる商品を選べるようになる」ことを目標にすると続けやすくなります。
まとめ|食品添加物は「怖がる」より「表示を理解して選ぶ」
食品添加物を減らしたいと考えたとき、最初に知っておきたいのは、日本で使用が認められている食品添加物が、すべて健康に悪いものとして扱われているわけではないという点です。
食品添加物は安全性評価や使用基準などの仕組みの中で管理されています。そのうえで、「できるだけシンプルな原材料の商品を選びたい」「特定の添加物を避けたい」という希望がある場合は、食品表示を確認して選択できます。
ポイントは次の5つです。
- 食品添加物を一律に危険と決めつけない
- 「/」だけでなく、改行や別欄の添加物表示も確認する
- 添加物の種類数だけで安全性を判断しない
- 「無添加」という表面表示だけで決めない
- 保存方法や栄養バランスも含めて食品を選ぶ
食品添加物を完全に排除することを目標にするよりも、表示の意味を知り、自分が納得できる食品を無理のない範囲で選ぶことが、日々の買い物では実践しやすい方法です。